伊東 秀一

05/26 謝罪よりも先に・・・

「母の背中で爆風を受け、一緒に土手の下まで転げ落ちました」
「二階建ての家が横にあった。おかげで熱線を浴びなかったんです」
ここまで話した後、男性はこう口にした
「でも母や叔父・叔母から聞いた話なのかもしれません。
 だって1歳の記憶ですから。でも映像は鮮明に頭の中にあるんです・・・」
                 ✤ 
藤森俊希さん(72)。広島生まれ。1歳の時に爆心地から2km余りの場所で
被爆した。母に背負われ病院に向かう途中の、土手の上だったという。
オバマ米大統領の広島訪問をどんな思いで見ているのか。それを聞きたくて
八ヶ岳山麓・茅野市の高原にある自宅を訪ねた。
                 ✤
今回、大統領には「謝罪を求めない」という日本政府の姿勢について問うと、
「被爆者としては複雑ではあるが」と前置きしたうえで、
「謝罪よりも先に“核兵器のない世界をつくる”という約束を早く実現すること」
との明確な答えが返ってきた。
オバマさんが大統領になって間もない2009年、プラハで世界に向けて宣言した
あの言葉である。但しそこには「私が生きているうちは難しい」の一言が付される。
                 ✤
「あの一言を取り払った(出来るだけ早い)実現を」というのが藤森さんの思いだ。
そのメッセージを今回改めて「広島から」発信してほしい、と願う。
大統領が広島で「何を・どうするか」を見届けたいと藤森さんは言う。
大統領の広島訪問の意義を問うシンポジウムが、あす夕刻から広島市内で開かれる。
そのシンポに出席するため、藤森さんはあす朝に茅野を発つ予定だ。

05/03 どこ吹く風ではなく

 いつだったか、学生時代に使った六法全書を探したが見つからず、
あることに気付いて探すのをやめた。
法学部なるところを卒業して30年近く。
その間にどれほどの法律が改正され、新たな法律が作られたことか。
「新しい条文が載っていない六法は、持っていても意味がない」
と当時、教授の一人に言われたのを思い出したからだ。
              ✤
 しかし、六法全書の中で一番最初に載っている日本国憲法は、
私が六法を持ち歩いていた時代と一言一句変わっていない。
あの当時から憲法改正をめぐる論議はあり、今もなお続いている。
 きょうの「Face」でお伝えする県民世論調査の結果では、
憲法改正の必要性について「わからない・何とも言えない」の回答が
概ね4人に1人という数字が出た。
年齢層が若くなるにつれてその割合が高いという傾向も見える。
              ✤
 何かと議論の的になりがちな9条ばかりでなく、
他の条文も改めて読んでみると、なかなか興味深い。
内容に限らず、ああ良い文章だなあ、なんて思ったりもする。
今の議論を風の如く受け流す人は私の周りにも少なくないが、
“ちょっと憲法を読んでみる”のも悪くないのでは、と思う。
(ちなみに「読んだことがある」人は48.7%)
長野市での憲法集会を取材したK記者のニュース原稿。
その結びのひと言が妙に心に残った。
『来年、施行70年を迎える日本国憲法をどう考えるか。
 きょうは、一人一人が見つめなおす日でもあります』

04/08 走り出す春

善光寺界隈で昼夜を問わず、ランニングする人の姿が目立つ。
2週間後に迫った恒例の長野マラソンの出場者とお見受けした。
練習とはいえ、皆かなりの速度でまさに“風を切る”ように駆け抜けていく。
時折、春の雨が通り過ぎる門前にハナミズキの白が鮮やかな季節。
その脇にはマラソンの期日を告げるフラッグがはためいている。

新年度が始まって1週間。新装「Face」も、キャスター含めて
時には手探りしながら、時にはおっかなびっくりの心持で、
懸命に走り出している。

かくいう私もこの春から「解説委員」なる役割に変わった。
「学級委員みたいですね」と冗談を飛ばしたら、
某先輩には真剣な顔で叱られた。
新天地で踏み出す一歩。まずは恐れず、ひるまず、考えすぎず。
踏み出すことでしか見えないものがあるような気がする。
・・・・・・と今夜はちょっと自分へのエールで御容赦を。

IMG_0614
【ハナミズキの花にフラッグの青が鮮やか/長野市中央通で】

01/11 七日も過ぎて

昨日は町内会のどんど焼きに注連飾りを出し、
今日は鏡餅を下ろして「鏡開き」をして・・・・・・。
暦の上では松の内は15日までともいうが、
この連休が終われば正月気分もほぼ遠のく。
皆さんはどうだろう?
昔のように15日(旧成人の日)まではまだまだ、
という方もきっとおられるに違いない。

私個人的には7日の朝に食べた恒例の七草粥で、
正月は終わったなという気分(せっかちですかね)。
祝日のカレンダーに無縁の仕事を長くしていると、
季節感やら暦の感覚をともすれば見失いがちになる。
だからというわけでもないが自身の中では、
季節の行事とか節目って大事にしたいなと思う。

IMG_0344
【今年も食べた我が家の七草粥/1月7日朝】

きょうの「Face」(18:15~)特集は、
正月もノンストップで雪道トラブルと向き合い続けた
JAF日本自動車連盟の道路レスキューに密着した。
雪の少ない冬とはいえ、山国信州の道を侮ることなかれ。
ここにも、休日無関係で働くプロフェッショナルがいる。

01/06 気は満々なれど

大きな事件事故もなく穏やかにすぎた年末年始。
本好きの私としてはこの休みにガッツリ読もうと心に決め、
本棚で埃をかぶっていた何冊かを引っ張り出し、
図書館に出掛けて厚みのある大冊まで借りてきた。

新年まで残りの日数を数えつつページをめくりだす。
が・・・・・・年の瀬の大掃除は一日がかり、
この時季恒例のまとめ買い、実家の窓拭き、
ふと気付けば「ああっ、年賀状も書いてない!」

でもって、用意した本の半数にも手を触れぬまま
雪の舞う中で除夜の鐘を遠くに聞いた大晦日。

年が改まって明日ではや一週間。
図書館の返却期限はひたひたと近付いている。
嗚呼、もう一回年末が来ないかしらん・・・・・・。