伊東 秀一

07/06 祈りの文字

遥か西方の半島から打ち上げられるミサイルが
世を騒がすこの頃。
去年、拉致被害者の蓮池薫さんと公開対談をご一緒した縁で、
対談の企画・主催者だったTさんから日本酒を頂戴した。
「このラベルの筆字、横田早紀江さんが揮毫されたんですよ」
            

達筆の文字は『乙女乃いのり』。
娘・めぐみさんを拉致された母上は書道の達人でもあられる。
わが子の無事を祈る早紀江さんの思いを広く伝えたいと、
被害者とその家族を支援する三重県の酒蔵がつくったものだ。
            ✤
早紀江さんは81歳。夫の滋さん(84歳)は体調を悪くされ、
最近では一切メディアに姿を見せていない。
「横田さんご夫妻だけじゃないです。他の被害者家族だって
 歳をとるのだけは避けられません。せめてお元気なうちに
 お子さんに会って欲しいんですが・・・・・・」
Tさんの表情が曇った。
            ✤
ミサイルや核開発ばかりがニュースになるその一方で、
拉致被害者の安否は一向に見えないまま。
祈り続けているのは、決して母や父だけではないはずだ。