伊東 秀一

01/16 雪に想う

先週は雪の多い地域での取材が続いた。
週半ばに足を運んだ飯山市は、積雪わずか10センチ。
2月の雪まつり恒例の雪像製作に、この雪で大丈夫か。
そんな心配もつかの間、その2日後に大雪は降り始めた。

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【飯山市愛宕町の雁木通り/11日】

そして大雪が降り始めた週末金曜の夕刻。
中継スタッフとともに北アルプスの麓、白馬村へ向かう。
途中の小川村を超えた辺りから路面は真っ白になり、
路肩の雪の壁が厚みを増す。
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白馬の街中に入る頃には、道路は地吹雪で見えないほどに。
夕闇が覆いはじめた車窓の左手に、仮設住宅らしきシルエットが
ぼんやりと見えた。2年2か月前の神城断層地震の被災者が
昨年末まで生活していた仮りの住まい。窓明かりは見えない。
入居期限が切れたため、住民は新たな終の棲家となる復興住宅や
それぞれの新居、身内の家へと移ったという。
去年一昨年と足を運んだ仮設の軒先に、いい感じに粉を吹いた
干し柿がぶら下がっていた。
限られた時間ではあるが、あの窓辺にも確かに生活があったのだと
今あらためて思う。
とっぷりと暮れた白馬村役場に着いた時、役場前の積雪は
66センチに達していた。

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【仮設の軒先にて/2015年11月・白馬村飯森】

01/06 林檎が走る鉄路

「長野県、特に北の方は林檎の文化圏だと思うんです」
カメラを前にしたインタビューで、芸術家はそう話した。
ああ、うまい表現だなあと感じ入った。
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きのうから、しなの鉄道(軽井沢~妙高高原間)を走り始めた
3両編成の電車。その車体に描かれたのは「りんごの壁画」だ。
その作者である田窪恭治さんにお話を伺う機会を得た。

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【電車の側面に描かれた“りんごの壁画”。田窪恭治さん作】

千葉県在住の田窪さんは、かつてフランス・ノルマンディーで
古い礼拝堂の内壁に“りんごの壁画”を描きあげた経験を持つ。
これが、“りんごの礼拝堂”として一躍話題となり、
建物の復活につながったという。
「フランスと日本の“林檎つながり”でこの仕事を得たのも
 何か運命のように思います」
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地元の林檎をアピールする飯綱町と、しなの鉄道の共同企画。
町内の鉄道駅には、既に田窪さんの描いた林檎の壁画がある。
沿線を歩くとき、あるいは電車に乗る機会がああったなら、
その車体に注目して頂きたい。鮮やかな林檎の樹に出会えるかも。

01/04 読む人

この年末年始、去年の取材ノートを整理していて
あらためて思ったこと。
「読む」というのは、難しいことなのだなと。
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日々私たちが生業にしている、読むという仕事。
ニュース原稿であったり、ナレーションの原稿、
時には番組やステージの進行台本であったり。
そこにある言葉を、正確に、聞き易く、分かりやすく。
これは基本中の基本なのであるが。
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長年ニュースの仕事に携わっていると、それ以上に
「読む」ことの意味が重くなってくる気がする。
いま目の前で起きている出来事を基軸、あるいは基準にして
「先を読む」ことも、時には求められるということ。
その根っこは「なぜそれが起きた」という疑問にも行き着く。
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きょう、新年最初の取材。物事の根っこがきちんと読めるか、
さらにその先を読む力が私にあるかどうかは別にして、
今年も「読む人」であり続けたい、と思った仕事始め。