伊東 秀一

04/06 窓灯り

「記念すべき1期生の6割が県内出身者、そして7割が女子学生という内訳です」
現場中継で私がこんな説明をしている時、ちょうど画面が捉えていたのは
大きな窓越しに元気に手を振る数人の学生さんのシルエットだった。
屋内でおそらくテレビを見ていてくれたのだろう。
中継カメラが窓辺を捉える度に、はじけるように手を振ってくれる。
              ✤
昨夜の「Face」は、寮生活が始まったばかりの長野県立大学
学生寮「象山寮(ぞうざんりょう)」寮庭から生中継でお伝えした。
5年前に閉校した小学校の跡地に建てられた学生寮は、
南北2棟の建物に計280人が生活する。


【長野県立大学「象山寮」/6日・長野市西後町】

市街地の児童数減少により姿を消した小学校。
私は当時、その最後の2年間を記録するドキュメンタリーに
携わる機会を得た。そんな縁もあってか、近くを通る度に
灯りひとつない真っ暗な校舎が無性に寂しく目に映った。
              ✤
何年も暗闇だったかつての校庭を、昨夜は寮棟から漏れる
黄色の窓灯りが柔らかく照らしていた。
子どもたちがいなくなった場所に、形こそ変わったけれど
また若い人たちの賑わいが戻ってきた。
時折聞こえる学生のざわめきと、夕闇に浮かぶ窓灯りが
不思議と温かった。
            

01/31 バドリルブドゥールの夜

バドリルブドゥール。アラブの言葉で「満月」という意味。
先日、朗読と対談でご一緒した女優・赤松由美さんに教えて頂きました。
             

【TSB屋上から東の空を望む/午後7時半】

今宵は満月。しかも月全体が地球の影に覆われる皆既月食。
午後8時48分頃には月が欠け始めるとのこと(気象庁)。
当初の予報では雲に隠れて難しいかな、と思われましたが、
この時間、長野市上空は雲らしい雲は見当たらず、
文字通り「バドリルブドゥール」が煌々と輝いています。
             ✤
欠け始めから欠け終わりまで、3時間ほどの天体ショーだとか。
黙々と見上げるか、温まるものを飲みつつ見上げるか、
屋外に陣取りがっちり着込んで見上げるか・・・。
さすがに三番目を選択する度胸と覚悟はありません。
とにもかくにも、雲が増えないことを祈りつつ。
バドリルブドゥールの夜を楽しみませう。

 ✤『満月(バドリルブドゥール)の中の満月』
   1974年に唐十郎さんが書かれた小説のタイトル。
   朗読会で赤松さんが60分に渡って披露した作品です。
    
   

01/25 ちひろの面影

「母は左利きでしたから、私は彼女の右の肩越しに
 絵が出来上がるのをいつも眺めていました」
           ✤
60年近く前の記憶をたどりつつ語る男性は、
母の背中にくっついて遊んだ当時を話す時だけは、
まるで遠くを見るように目を細めた。
           ✤
母=いわさきちひろ。44年前に他界した世界的な絵本作家だ。
享年55。彼女の長男である絵本研究家・松本猛さんと先週、
東京・練馬にある「ちひろ美術館・東京」でお会いした。
66歳になる松本さんは、昨年末、初めて母の「評伝」を書いた。
「母の死んだ年齢を10歳過ぎて、母を客観的に見られるようになりました」。
そう言いながら、自身の著書を手に30分を超すインタビューに答えて下さった。
340ページという大冊の最後に、彼はこうも記している。
「私にとって、いわさきちひろは母であるとともに、師でもあった」。
           ✤ 
ことしは「いわさきちひろ生誕100年」にあたる。
「ちひろ美術館・東京」だけでなく、北アルプス山麓の「安曇野ちひろ美術館」
(長野県松川村)でも、様々な企画展が予定されているという。
是非とも訪ねたい場所が、またひとつ(いや、ふたつ)増えた。


【復元されたちひろのアトリエ(1972年当時)】
※写真は美術館の許可を得て撮影・掲載しています。

 

01/04 読む人

本日、仕事始め也。
去年も同じタイトルで年初の小文を書きました。
やはり今年も基本は一緒、と考えています。
           ✤
原稿を「読む」。言葉を「読む」。本を「読む」。
願わくば「人の思い」や「時代の向いている方向」等々も
読める人間になりたい、と願います。
           ✤
「読む」ということは、その対象と向き合うことでもあります。
逃げずに向き合い、読む、読み取る。そんな1年でありたい。
年初にそんなことを考えています。
2018年・戌年もどうぞ宜しくお願いします。


【25年来の相棒、岩波国語辞典第五版。表紙が・・・】

12/28 「浮」の1年

いま午後4時。「Face」年末スペシャルの生放送開始まで
残り1時間を切りました。
2時間10分の生放送の中に「今年の映像全部出し+2元生中継」が
はてさて収まるのかどうか?
いつもは解説でちょこっとしか出演しないゆえ、
久々の長丁場で実は昨夜から浮き足立っている私。


【準備中の藤原里瑛キャスターと私
     ~TSB報道フロア・午後4時前】

そんな気持ちを知ってか知らずか、相方の藤原嬢がこんな自撮り写真で
和ませてくれてます。
「フジワラ、感謝してるぞ!」

ミサイルが飛び交い、地震や台風の相次ぐ襲来で、
どこか浮き足立っていた2017年。
来年は地に足を付けた年にする。そんな祈りをこめつつ、
さてスタジオに入るか!