伊東 秀一

03/11 ピアノと空気

「ここのホールは音の残響がちょうどいいんです。
 2.0くらいなのかな、たぶん」

ピアニストが言うこの数字が2.0秒という時間を表すと知ったのは、
勉強不足の私がその場でピアニスト本人に問い返したからだ。
加えてその時に教わったのは、日本の演奏ホールの空調基準が
とても厳しいのだということ。

音楽ホールは、ともすれば巨大な密閉空間と思いがちだが、
実はしっかりと空気交換が行われているのだという。
国内のとあるホールで演奏した外国人ピアニストが
ステージ上の微かな空気の流れを感じ取り、
空調を止めろ!と語気を荒げたというエピソードも教わった。
単にそのピアニスト氏が神経質だった、という話ではないだろう。
              ✤
今月末に上田市で予定されていたピアノとチェロとオーケストラの共演が、
残念ながら中止と決まった。理由は一連のコロナ対策である。
関西に端を発した「ライブハウス」感染と、とかく一括りで考えがちだが、
その空間構造や環境には大きな違いがある。
音楽関係の方々には厳しい「連鎖」が続いているが、
一音楽ファンの目線で見ても、どこかで止めたい連鎖である。