テレビ信州とメディアリテラシー
[ 進行表 ] [ テレビ番組のできるまで ] [ 撮影の仕方 ]
進行表
授業までの準備と仕込み <<場所/放送局>>
企画書検討
教師と代表生徒の対応 局担当者の対応 留意事項
企画書の提出
・紹介したいこと
・どのような表現方法で伝えるか
・事前に何を準備するか
・どのようなところを取材するか
構成台本の制作
打ち合わせ研修会(第1回)
提出された紹介項目を尊重しながら、映像表現のプロとしてアドバイスする。
・どのような表現方法を使うか
・伝えたいことをどのように絞り込むか
・カメラの基本的な扱い方
・取材の方法など
簡単なハンドブックを提示してアドバイスを行う。
教員・代表生徒に、テレビメディアの特性と表現方法の基礎を伝え、テレビメディアの理解者とする。
権威的に行わない
取材
教師と代表生徒の対応 局担当者の対応 留意事項
企画書・構成台本に従い、取材を行い映像を準備する。 1回は、取材現場に立ち寄り、実地でアドバイスを行う。
同時に、取材の様子をニュースにし伝える。
 
編集キット作り
教師と代表生徒の対応 局担当者の対応 留意事項
編集キットを作る。
・取材した素材を選びながら、コンピュータにキャプチャーする。
・構成台本に従って、ブロック(構成)ごとに粗編集を行う。
・テロップやBGMの候補を選定し、インプットしておく。
・ナレーションを作成する。

打ち合わせ研修会(第2回)
編集の基礎を実践的にレクチャーする
・素材選択の方法
・モンタージュ効果
・映像・テロップ・ナレーションなど特性に合わせた情報の分類など
できれば最後のインタビューを挿入すればよい程度(8割程度)の完成度にしておく
放送局による出前授業 <<場所/学校>>
1時間目
教師と代表生徒の対応 局担当者の対応 留意事項
大型プロジェクターに編集画面やカメラで写している場面を上映しながら、実践的に学習する。(参加者全員) テレビメディアの特性について
・テレビを分解すると(A/V/T)
・BGMによってこんなに感覚が違う
インタビューの基礎・カメラワーク
・取材者と被取材者について
テレビメディアの特性、表現方法の基礎を理解する。
2時間目
教師と代表生徒の対応 局担当者の対応 留意事項
1時間目のレクチャーを踏まえ取材する。
・お互いにインタビューする
・ナレーション班(ナレーションの収録)
インタビューの指導
光・インタビューする人の位置・質問の仕方など実践的に指導する
ナレーション読み込みの指導
伝わる読み方(話し方)について伝える
 
3時間目
教師と代表生徒の対応 局担当者の対応 留意事項
・討議しながら編集する(全員)
・モンタージュ効果やカットの切れ目・つなぎ目など、ハンドブックやテキストではわからないノウハウや映像の文法を理解する。
・テレビが様々なメディアが複合している事を理解する
プロジェクターに上映しながら番組編集
インタビュー素材を選択しキャプチャーする(理由を加えながら)
準備した編集キットを使って、生徒と討議しながら、なぜこのカットが選ばれるのか説明し編集する。1時間程度で完成させる。
表現の効果や、構成台本と実際の映像表現の異差を理解する。
制作課程の収録
プロデューサーやディレクター役になる立場の人や、収録に携わる特定の人物を軸に取材し、その変化を表現できるように努める。
授業後
できあがった番組は、過程を追ったメイキングレポートと共に放送する。代表生徒と指導に当たった先生をゲストに生放送でオンエアする。
テレビ番組のできるまで
1.番組企画
企画者が、プロデューサーに企画を持ち込みます。
プロデューサーは、この企画を放送して良いかどうか判断するため、編成部門に企画会議の開催を要請します。
出席者は、
プロデューサー、ディレクター群=番組を制作する側。
編成プロデューサー=番組が視聴者のニーズにあっているか判断し、放送時間をきめる。
営業プロデューサー=この企画が売れるかどうかを判断する。
2.企画会議
出席者が、それぞれの立場で意見を述べ、修正すべきところがあれば修正を加えて制作することが決まります。
ここで決まるのは、制作期間、放送時期と放送時間、制作費など。
このあと営業部門のスタッフは、セールスシート(スポンサー用の企画書)を作成し、スポンサーに売り歩きます。
3.制作会議
プロデューサー(P)が主催し、担当するディレクター(D)、カメラマン、リポーターなどのスタッフを指名して、企画の趣旨を説明します。
企画者がPやDではない場合、企画者が制作会議に加わってその思いを伝えることもあります。
ここでは、企画書に沿ってテーマを絞り込み、どんな構成にして、どんな映像を撮って行くか、リポーターは現場でどんなコメントが必要か、インタビューの項目は何か、細かくシミュレーションをします。
全員が企画に対して同じ気持ちを持つことが大切で、この後制作会議は随時開いていきます。
4.番組制作
制作会議で指名を受けたディレクター(D)は、制作会議での話し合いを元に、番組の構成表を作成、併せて制作スケジュールをプロデューサー(P)に提出して取材に入ります。
DとPは、連携を取って番組制作を指揮します。
放送が近くなると、編成部門からCMをどの程度入れるかの連絡がPにあります。
PとDは構成表のどの部分にCMを入れるかを検討して編成に返します。
その判断基準は、
a)番組の流れを断ち切らないで、視聴者が気持ちよく見られること、
b)相手の放送局の番組は何が放送されていてどの時間にCMが入るか、
を推測して決めることになります。
5.VTR編集
予め考えた取材リストは、現場に行くと役に立たなくなる場合もあります。
従って、取材できた物とできなかった物、さらに予想もしなかった面白い出来事などが取材リストに加えられます。
それによって構成はどんどん変化していきます。
PとDは企画主旨に照らし合わせながら、当初の構成を修正し最終的な構成表を作ります。
編集者(ED)はこの構成表を見ながら編集作業を行います。
ここからは、時間との競争です。
6.仕上げ
a)編集されたVTR(マザーテープ)をダビングしながらスーパーを付けます。
マザーテープは、万一の時のために、実際の加工には使いません。
b)スーパー付けされたテープに音楽を付けます。
c)bのテープにナレーションを入れます。
d)b=cのテープの音は、それぞれ別のチャンネルに入れてあり不揃いのため、一度音を外に出して調整しながらb=cのテープに入れ直して完成です。
この作業をMA(マルチオーディオ)と言います。
7.放送
a)完成テープに、キューシートを付けて編成部門に持ち込みます。 キューシートには、全体の尺(長さ)やCMの時間などが書き込まれています。
b)編成部門では、内容に間違いがないか、映像に傷がないかをチェックし放送部門にテープを送ります。
c)放送部門では、キューシートをもとに総尺(番組の長さ)が合っているかや、CMの時間などを確認し、コンピューターにデータを打ち込みます。 これで、間違いなく放送できるところまで来ました。
※完成テープにはCMが入っていませんが、放送するときにコンピューターで挿入します。
撮影の仕方
テレビのスタジオを見たことがありますか?
何台ものカメラがあり、出演者を様々な角度(アングル)から撮影しています。
でも、テレビに映るのはその内の1つのカメラが撮影した映像だけです。
映像をセレクト(カメラを切り替える)しているのは、副調整室(サブ・コントロールルーム)にいるディレクターで、番組の進行に合わせて、その場の内容に一番適した映像(カメラ)を選択します。
カメラマンはディレクターに自分の映像を取ってもらおうと、良いアングルで出演者を撮影できるように一生懸命工夫します。正面から撮っているカメラがあれば、一方は横から撮影しています。
もう一方のカメラは、出演者のアップを狙ってディレクターにアピールします。
もちろんディレクターからは、矢継ぎ早に映像についての指示が出ます。
テレビ信州のAスタジオには常時4台のカメラがあり、「ゆうがたGet!プラス1」は、この4台をフル活用して映像を制作しています。
様々なアングルから撮影しており、その映像を適切に選択することで、3時間の生放送が中断することなく放送できているのです。
1台のカメラだけでは、話しに合わせて対象を抑えたり、ズームアップしたりできませんので、視聴者に皆さんを満足させる映像を撮るのが非常に難しいのです。
「映画」の撮影方法、ご存知ですか?
一方、もう一つの映像文化である「映画」はどのような撮影方法を採っているのでしょうか。
何年も前の話ですが、東映の大泉撮影所に取材に行ったことがあります。大きなスタジオにいくつものセットが組まれていますが、その中にカメラは1台、カメラマンも1人(助手はいっぱいいました)でした。照明がきちんとセットされた中で役者が演技をします。監督のかけ声でカチンコが鳴って撮影が始まり、「カット」の声でその場面が終わります。カチンコにはシーンのナンバーが書いてあります。よく「カット割り」という言葉を撮影現場で使いますが、実はここから出た言葉なんですね。
「映画」の撮影方法、ご存知ですか?
一方、もう一つの映像文化である「映画」はどのような撮影方法を採っているのでしょうか。
何年も前の話ですが、東映の大泉撮影所に取材に行ったことがあります。大きなスタジオにいくつものセットが組まれていますが、その中にカメラは1台、カメラマンも1人(助手はいっぱいいました)でした。
照明がきちんとセットされた中で役者が演技をします。
監督のかけ声でカチンコが鳴って撮影が始まり、「カット」の声でその場面が終わります。
カチンコにはシーンのナンバーが書いてあります。
よく「カット割り」という言葉を撮影現場で使いますが、実はここから出た言葉なんですね。

映画は1台のカメラで撮影していきます。
それを後でつないで(編集して)1本の物語に仕上げるのです。
わずか数秒と非常に短い1シーン(カット)を、根気よく撮影していきます。
ですから、映画の撮影は中断に継ぐ中断の撮影風景となります。そこがテレビと全く違う状況ですね。
私が見た場面は、仲代達也の乃木将軍が円卓に座った参謀たちをゆっくり見回す場面で、撮影では周りの役者はだれもいませんでした。
できあがった映画では、仲代(乃木)将軍の目は確かに周りにいる参謀たちを見据えていました。
役者ってすごいな、と思うと同時に、カメラアングルの素晴らしさにも感動したことを思い出します。
撮ることができればセーフ、取れなかったらボロクソに言われる厳しい世界
さて、テレビの取材はカメラを複数出して多角的に撮影する場合もありますが、普通は1台だけということが多くなります。
ですからカメラマンが撮影するとき、ディレクターとよくコンタクトを取りながら、どのように映像を抑えたら物語が完成するか、頭の中で「カット割り」をしているのです。
映画の撮影によく似た状況ですね。

映画の場合、出演者は役者さんです。
何回もリハーサルを繰り返したあと本番の撮影に入ります。
テレビでもドラマの撮影ではそうなりますが、私たちの普段のニュース取材や、ドキュメンタリーの取材で、相手に対して“もう一度やって下さい”とは言えません。
ですからカメラマンは最大の神経を張り巡らして、カメラのビューファー(ファインダー)を覗いているのです。
決定的チャンスは突然やって来ます。
撮ることができればセーフ、取れなかったらボロクソに言われる厳しい世界です。
ただ、若干の演出を付けたり、アナウンサーやリポーターなどの局側の出演者については、リハーサルをしたり何回もやり直しをすることもありますので、これがヤラセだ・・・なんて言わないで下さい。
以下、撮影の仕方の主な点を記します。
カメラを動かすのではなく、出演者が動くものです。
ムービーカメラを持つとカメラを動かさなければならないと、アマチュアカメラマンは思ってしまうそうですが大きな間違いです。
自分の目を考えて下さい。
自分の目が回ってしまうのと同じ原理です。
お分かりいただけますか。
カメラを動かす場合は、比較的ゆっくり動かします。
自分の目が動く場合ももちろんありますね。
カメラ位置を固定して動く人や物を追う場合、そのスピードに合わせればOKです。
ただ、あまりに速すぎるとついて行けませんので、その場合は追いすぎないで適当にフレームアウト(画面の外に出す)した方がよいと思います。
目の位置自体が動く場合があります。
例えば車に乗って外を見ている場合を考えましょう。
近くの物は飛んでいってしまいよく分かりません。
頑張って見ていると気持ち悪くなってしまうでしょう。
それでも自分の目なら何とかなるでしょうが、カメラはそうはいきませんね。
ピントを送っていったりする場合、機械的な時間がかかります。
ですからゆっくり動かしましょう。
カメラにはズーム機能も付いていて使いたくなるもの人情ですが、できればズームするよりカメラマンが前に出た方がベターです。
ブレたり画角を失敗する原因になります。
何を撮りたいのか、明確な意志を持って下さい。
あなたは何を撮影しようとしていますか。
撮りたい人や撮りたい物を画面の中心に持ってくる、これが基本です。
さて、中心にあったとしてもその周りに関係ない物が、同じ大きさでいっぱい写っていたとしたら、見ている人はその映像が何を言いたいのか分かりませんね。
というわけで、どんな大きさで撮影したらよいのかを考えて下さいね。
あなたはどこで撮影していますか?
前項で「何を撮りたいか」をしっかり持つように言いましたが、撮りたい物だけをずっとアップで狙っていたら、その人(もの)がいる全体の状況が一向に伝わってきませんね。
カメラマンがどこで撮影しているのか、それを見ている人に理解してもらうためには、「ここはどこ!」という映像は必ず抑えて下さい。
その映像はどんなものですか。
▲UP