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新型コロナ5類移行から1年 病院は…観光地は…飲食店は… にぎわい戻るも新たな課題  

小椿希美アナウンサー 「午前11時の長野駅前です。歩いている人を見てみますとマスクをしている人していない人。ちょうど半々くらいでしょうか」 2020年に拡大した新型コロナウイルス感染症。県内では2022年11月をピークに猛威を振るい、これまでに亡くなった人は900人に。 当初の感染症法上の位置付けは、結核やSARSといった強力で危険性の高い感染症が該当する「2類相当」でしたが、オミクロン株が主流となってからは重症度が下がり、去年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行されました。 街の人は…。 40代・男性(東京) 「最近は(コロナに)なっている人も周りにいないしあんまり気にならないですね」 20代・女性(長野市) 「お店をやっているんですけど、やっぱりマスクは外せないですね。お客さまが来る時とかは」 70代・女性(上田市) 「もうマスクしている人が少ないでしょ。だから自分もそろそろ外してもいいかなくらいに思ってますけどね」 薄れつつあるコロナへの意識。 一方、最前線で治療に当たる医療現場。5類移行後の変化は? 感染がピークだった2022年の中野市・北信総合病院です。ひと月で最大98人のコロナ患者が入院し、発熱外来には1日100人に迫る患者が押し寄せていました。 小椿希美アナウンサー 「以前は病院の外に発熱外来が設置されていたんですが、今年1月に撤去されて現在は駐車場に戻っています」 さらに、院内に移された発熱外来も今は落ち着きを取り戻していました。しかし、病院は警鐘を鳴らしています。 北信総合病院 荒井裕国統括院長 「病院としては、5類になったからと言ってウイルスの感染力そのものは変わらないわけでむしろ株がどんどん変わっていくにつれて感染力そのものは強くなっているので世の中はWithコロナという状態かもしれませんけど病院の中としてはゼロコロナを目指すようなやり方を続けています」 現在、病院に入院中のコロナ患者は3人。今も手指消毒とマスク着用を徹底し、5類移行後に再開した面会も、予約制で1回30分を1日8枠までと制限しています。 北信総合病院 荒井統括院長 「世の中を見ているとコロナのことがなくなっちゃったみたいに感じますが病院ではやっぱり一定の数の患者さんがコロナが原因で入院はされているんです。ゼロになったことはないです。そういう方のことはどこか心の端っこの方で忘れないでおいていただきたくて。弱い人を守るというつもりで。積極的にマスクを使うということは忘れずやっていただきたい」 最大10連休となった今年のゴールデンウイーク。信州には多くの観光客などの姿が…。 東京から 「何か旅行に行っちゃいけないんじゃないか、みたいな気持ちがあったじゃないですか。ちょっと前まで。でも今はそういうのがもうないからある意味安心して行ける世の中になったんだなと思います」 JR東日本によりますと、ゴールデンウイーク期間中の北陸新幹線の乗客数は67万3000人で、去年より、およそ5万人増えました。新型コロナ前の2018年と比べるとおよそ2万人の増加です。好調なインバウンドや敦賀延伸の効果が主な要因とみられています。 北沢ななか記者 「ゴールデンウイーク3日目です。午前10時を回ったところですが、善光寺はすでに多くの人が訪れています」 長野市の善光寺にはおよそ26万9000人が参拝に訪れました。 群馬から 「(長野)いいですね。思ったより混んでいます。天気もいいので最高です」 4年前のゴールデンウイークはほとんど人がいなかった北佐久郡軽井沢町の旧軽井沢銀座通り。今年はコロナ前のようなにぎわいが戻ってきました。 町内では予約でいっぱいになった宿泊施設が多かった一方で、新たな課題も…。 軽井沢ホテル旅館組合 鈴木健夫組合長 「お客さまはたくさん来ていただけるんですけど、おもてなしするだけの十分な人材が確保できていないというのが現状ですね」 新型コロナの影響を大きく受けた宿泊業界。町内では多くの従業員が職場を去り、スタッフ不足に…。ある宿泊施設では食事の提供ができないため、素泊まりのプランしか提供できないケースもあったといいます。 軽井沢ホテル旅館組合 鈴木健夫組合長 「インバウンドのお客さんもたくさん入れて観光客を増やしていくという中でサービス業に係る人たちをどうやって確保していくかというのが一番の課題かと思いますね」 塩尻市の居酒屋「塩尻吞食堂Tetsu」。東京・豊洲市場から直送した鮮魚や地元の食材をふんだんに使ったメニューが人気です。この日も多くの客が訪れていました。 客は 「やっぱりいいですね。外で飲めるというのは」 客は 「わだかまりなく飲めるでしょいいですよね」 店を営むのは40年以上、飲食業界に身を置く草野徹さんです。新型コロナの影響で休業を余儀なくされた4年前。コロナ前にひと月600万円以上だった売り上げは、6分の1にまで激減しました。 塩尻吞食堂テツ 草野徹さん 「私も3月はノイローゼみたいになったりして本当にぼけーっとしたりということもあった」 当時は居酒屋のほか、カフェも経営していましたが、生き残りをかけて閉店を選択。店の賃料や従業員の給料を支払うため、金融機関から500万円の融資も受けました。 塩尻吞食堂テツ 草野徹さん 「自分が生きているうちに返せるか…いや、本当」 塩尻吞食堂テツ 草野徹さん 「コロナでどうしていいか分からなくなって、銀行の融資も大きくなっちゃって返済も大丈夫かなって言いながらやって試行錯誤。今でも大変ですけど」 弱気になってしまった時期もあった草野さん。店を訪れる人は今、コロナ前の1.5倍に増えたといいます。店に活気が戻ってきた一方で頭を抱えるのが長引く物価高です。 塩尻吞食堂テツ 草野徹さん 「毎月毎月食材費が上がっているので、お客さんに対して理解していただける内容にするとか」1203「例えばカキフライは4個入りだとそれで1000円超えちゃうと。それじゃあちょっとと、3個にしてなんとか1000円を超えないようにしようとかいろいろ知恵を使って」 加えて重くのしかかるのが、融資の返済です。以前とは違い、アルバイト従業員を雇わず、調理や接客は正社員6人で対応しています。 塩尻吞食堂テツ 草野徹さん 「調理場1人のホールが2人。(コロナ前の)合計3人ぐらい少ない状態でやっている」 人繰りは毎週、定休日を設けて調整しています。 塩尻吞食堂テツ 草野徹さん 「こういう業界、多分なくなってはいけないと思うしなくならないと思うんですけど、人からいい商売だねって思ってもらえるような業界にすることが夢というか、そんな気がしますね」 コロナ禍を乗り越えて見えてきた新たな課題。店主たちの我慢、そして挑戦が続きます。

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