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【特集】「サクサク香ばしい」ポップコーンの中に入っているのは… 世界が注目!昆虫食文化 新たなビジネスチャンスの可能性も

特集です。 古くから信州に伝わる昆虫食文化。道の駅などではイナゴや蜂の子、蚕を中心とした伝統食が販売されています。健康食材としても注目される中、新商品が登場するなど、ビジネスとしての可能性を探りました。 乾いた音を立てながらはじけるポップコーン。中にいる黒っぽい物体…、蚕のサナギです。その味はというと…。 木下歌織キャスター 「サクサクとした食感で香ばしい。ポップコーンと一緒に食べるとペッパーの味が合わさって絶妙でおいしい」 実はこれ、信州の昆虫食文化を国内外に発信しようと、信濃毎日新聞社が開発した新商品です。 道の駅に行ってみると…。 木下歌織キャスター 「入口に入ってすぐにありました。昆虫食の商品」 客の反応はというと…。 伊那市出身 「面白いと思います。蚕も食べたことがあるので食べられると思います」 奈良県在住 「これなら一回トライしてもいいかな。タンパク質が取れるというのでいいという話を聞くので、こういうので広まっていったらいいですね」 4月発売された、この商品。初回の生産量はおよそ400個でしたが、わずか3日で完売するほどの盛況ぶりでした。 道の駅信州新町 高山隼主任 「信州ならではの食品を盛り込んだ商品ということで多く手に取ってもらえています。(売れ行きは)じわじわという感じです」 信州では甘露煮などの伝統食をはじめさまざまな昆虫を使った商品がこれまでに数多く開発されています。 しかし、中には…。 伊那市民(愛知県出身) 「理解はできるけど、僕は食べませんよというスタンスです」 東京都在住 「虫なので、自分たちが子どもの頃から捕っていたものを口にするというのは抵抗がありますね」 ハードルが高く感じる人も…。 そもそもなぜ、信州に昆虫食の文化が根付いているのでしょうか。長野市出身で、NPО法人昆虫食普及ネットワーク理事長の内山昭一さんに聞きました。 NPО法人昆虫食普及ネットワーク 内山昭一理事長 「昆虫食は長野県に限らず日本全国どこでも昆虫を食べられていた。ですから長野に特化した食文化ではない」 では、なぜ、信州のイメージが強いのか。そこには、“商売センス”があったからなんです。 NPО法人昆虫食普及ネットワーク 内山昭一理事長 「おいしいくてお金になるかそういう工夫をしていたから」 内山さんによりますと、大正初期には、昆虫食の缶詰商品が、土産品として販売され、信州から全国に広がりました。昆虫食ビジネスにいち早く目をつけていたのです。 昨今の昆虫食ブームに火が付いたのは、生活雑貨ブランド無印良品を展開する良品計画が昆虫を使った商品を2020年に販売したことがきっかけでした。そこから市場規模は5倍に。量産がしやすく、栄養価が高い昆虫食は食糧難の解決策として世界からも注目を集めています。 さらに昆虫食の商品化によって、製糸業や養蚕業にも追い風が吹いています。岡谷市の宮坂製糸所では、シルク商品を製造していますが、その副産物として出る蚕のサナギが、食用品としてポップコーンなどの商品に提供されています。 宮坂製糸所 高橋耕一社長 「製糸業、蚕糸業が減っている中で蚕そのものを目にする機会がなくなっていると思う。身近な食材で蚕がいるということを知っていただける面白い機会だなと思います」 宮坂製糸所では県外の企業からも蚕のさなぎに関する問い合わせがあり注目されています。 宮坂製糸所高橋耕一社長 「高級な繊維も取れますけどサナギそのものにも別の意味で価値を持って利用していくことでトータル的に(昆虫食)のビジネスができたらいいなと思います」 伝統食として古くから信州で親しまれてきた昆虫食。産業振興と新たなビジネスチャンスの可能性を秘めています。

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