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武田育夫 新教育長に聞く 不登校の増加・教員不足 県内教育の在り方とは… 

特集はシリーズ、新たなトップに聞く。 1回目の14日は、この春に県教育委員会のトップ「教育長」に就任した武田育夫さんです。 多様化する教育現場で、子どもたちの学びをどう支えていくのか、また課題にどう向き合うのか、聞きました。 (※浅間中学校)佐久市にある公立中学校の1年生の授業。 生徒同士が机をつなげてトランプ!?…のように見えますが、実は、数学の授業です。 小学校の算数にはなかったマイナスの計算を理解するために、身近なトランプで学ぶ方法を取り入れています。 上級生たちにある質問をしてみました。 Q.もし学校で自由に学べるとしたら? 浅間中3年生 「日本だけじゃなくて、世界のことや宇宙のことに興味があるので、広い視点でいろんなことを学びたいです」 浅間中2年生 「追究するのが好きで、そういうのだったら楽しくできると思います」 浅間中3年生 「言われたからやる、やらなきゃいけないからやるみたいな、そういうのだと自分自身のやる気だったりモチベーションが上がってこない」 令和の子どもたちの学びが今、変わろうとしています。 この春、県教育委員会のトップ教育長に就任した武田育夫さんです。 武田教育長 「この先生と一緒に考えたり走り回ったり学んだりということができるような環境、状況を作っていくことが行政の仕事。現場主義というんですかね」 就任後の意気込みについてこう答えた武田さん。実は元中学校の教師です。 諏訪郡・富士見町の中学校で初めて教鞭をとってから定年後の再任用も合わせて「39年間」、教育現場に立ち続けました。 Qどんなところが先生のやりがいだったんですか? 武田教育長 「教員ってやっぱりストレスもあるんですよ。うまくいかないこともあるし、地域や保護者との関係とか職場の中でいろいろあるんだけどそのいわゆるなんというか仕事の中でストレスが解消できるというか。例えば子どもたちの素敵な歌を聞いたり、すごく頑張っている子どもの姿を見たり、あるいは子どもの純粋の反応を見たりということで、仕事の中でストレスはもちろんあるんだけど、仕事の中で解消できるという」 その学校は今、様々な課題に直面しています。 県教育委員会によりますと、県内の小中学校で2022年度、30日以上欠席した不登校の子どもは過去最高の5735人。10年連続の増加で、教育行政にも変化が求められています。 武田教育長 「一番は学校が子どもたちにとって本当に楽しくて満足な生活が送れる場になっているのかどうかというのをやっぱり学校が問い返す必要があると思いますね。学校にはいろんな価値観があってよくて、いろんな見方があっていいんだけど、今はどちらかというと子どもに対する指導のあり方が非常に少ないところでやっているのでそれに合わない子どもたちにとっては行きにくさというのが、居づらさがあるんじゃないのかなと。もう少し一人一人の子どもに合わせた学校のあり方、教育の仕組みのあり方というのを今が考えるときなのかなと思います」 子ども一人一人に合わせた学校のあり方…。 この実現に向けて県は今、改革を始めています。 阿部守一知事 「公立学校、画一的な形で進んできたものが多い。県全体で新しい教育の形を作っていきたい」 知事をはじめ、教育委員会が進めているのが、子ども一人一人の能力や特性に応じた「個別最適な学び」です。 不登校に加え、発達障害や外国籍の子どもも増えていて全員が一人の教師から一斉に教わる授業方法を見直そうというのです。 そこで進めるのが、「自由進度学習」。 教員が決めた学習内容の中で、子どもが自分のペースにあった学習計画を立てて学びます。 学び方は人それぞれです。 教育委員会は2027年度に県内50%以上の学校での実践を目指しています。 一方で、子ども主体の学びを進める教員は…。 教員は(浅間中3年担任) 「教員自身がそこに一つ慣れていないということがあるかもしれないが子どもに任せるというところで、どんどん進めてできる子もいれば、なかなかスタートが難しいという子もいて/子どもたちを信じながらそういう問いも子どもたちと一緒に見つけていけるといいのかなと思います」 子ども一人一人を見るためには、教員の手間や時間がこれまで以上に必要になります。 しかし、県内の小中学校の教員は、今年1月末時点で「37人」不足。 また、今年3月末には性的な言動や性暴力などにより小・中学校の教諭など「5人」が懲戒処分に。 昨年度全体では「14人」が懲戒処分と教員の不祥事も相次ぎました。 武田教育長 「教師の仕事は子どもを守ることなのでこれは決してあってはならないことだと思いますし、そのことについてはきちんと取り組んでいく必要があると思います。ただ、一方で先生たちが学校の中であるいはうちへ帰ってとかそういった中で孤立していないかというのがあって。先生たち同士の会話・対話、一緒に何かを取り組むということが学校の現場の中で薄れてきているというふうにわれわれも現場にいて感じました。学校の先生の一番の仕事は子どもたちと一緒にいる、子どもたちと共に生活をするということなので、そこに費やせる時間を多くするということは、それから遠い仕事はできるだけ削減してくと言うことだと思いますね」 現場を知る新たな教育長の経験と手腕が期待されます。

5月14日 20:11