2006年度の取り組み
 
裾花小学校学習支援
裾花小学校4年1組でのメディアリテラシーの授業が始まりました。
これは、4年1組の『総合学習』の時間に「身近な地域を学ぼう」ということで、児童とその保護者の方々が、5月末にテレビ信州の見学に来たことがきっかけです。
この授業では、1年間、児童が自分達の目線で情報の作り手・送り手として学びます。
そしてテレビ局スタッフと一緒に映像作品を作り、年度末にはテレビ信州のニュース番組に生出演して出来上がった作品を視聴者に見てもらおう、という目標です。
【対象児童】
裾花小学校 4年1組 34人(柄沢敏先生)
【授業講師】
平坂雄二(テレビ信州)
伊東秀一(テレビ信州アナウンサー)
第1回授業 6月23日(金)「同じ材料で物語をつくろう!」 (場所:裾花小学校4年1組教室)
【内容】
授業初日は、6班に分かれてニュースの原稿を実際に読んだり、自分達でストーリーを組み立てたりすることで、テレビの裏側には、作り手・送り手の視点があることを勉強しました。
●ニュースの原稿を読んでみよう!
当日昼の「TSBニュースD」の原稿を児童が音読しました。
内容は、この日の早朝行われた「サッカーワールドカップドイツ」での日本対ブラジル戦の記事でした。
新聞など活字は何度も読み直しができますが、テレビなど放送は聞き直しができませんので、耳で聞いて分かりやすい「話し言葉」が使われます。
実際に読んでみると、テレビで見るようなテンポやリズムで読むのは、難しい作業でした。
テレビ信州では、ニュースは小学校3年生以上の人達が分かるように作られています。しかし、途中には、「一喜一憂」や「美酒に酔いしれる」など、4年生では習っていない表現がいくつか見られ、児童たちは戸惑う班もありました。
伊東秀一アナウンサーが同じ原稿を読むのを聞き、アナウンサーは見ている人が「分かりやすいように」読まなければならない、ということを知りました。
~伊東秀一アナウンサーによる授業~
~伊東秀一アナウンサーによる授業~
●テレビができるまでを見てみよう!
『「ゆうがたGet!」ができるまで』というビデオを、伊東秀一アナウンサーの解説で見ました。
テレビ番組ができるまでには、たくさんのスタッフが関わっていることを知りました。
●「剣豪伝説」ストーリーをつくろう!
テレビのニュースで、どの映像を最初にするか、どの様な流れにするか、というのは「送り手・作り手の視点」によって構成されます。
このゲームでは、班ごとにストーリーを組み立てます。
そして、同じ素材でも「作り手・送り手」によって全く違う内容になる、ということを学びます。
【手順】
5班に分かれ、各班に5枚ずつ同じフリップを配ります。
フリップは、「剣豪伝説」というストーリーの絵が紙芝居の様に描かれています。
(字は書いてありません)このフリップを、班ごとに話し合い、自由に並べ替えて一つのストーリーを作ります。(教材:東京大学大学院情報学環メル・プロジェクト)
~5枚のフリップ~
~5枚のフリップ~
「紙を切る侍」「富士山を切ろうとする侍」「自殺しようとする侍」等作品は、各班ユニークな出来になりました。
5枚のフリップの中で、同じ絵を一番目に持って来たのは3班で見られましたが、5枚とも同じ並びとなった班はありませんでした。
当然、完成したストーリーも違ったものになりました。
~どんなストーリーにしようか?~
~どんなストーリーにしようか?~
構成する段階で、「この絵の場所はどこか?」という質問が出たり、存在しない'6枚目'のフリップを想定した話が付け加えられていたりするところがありました。
このゲームは今まで中学生から大人まで幅広い年齢層で行われましたが、この様な質問や結果が出て来たのは、今回が初めてでした。
これは新しい発想で、とても新鮮に感じられました。
~できあがったストーリーを発表~
~できあがったストーリーを発表~
裾花小学校学習支援 -第2回目-
第2回授業 7月12日(水)「テレビの'音'の役割を知ろう」 (場所:裾花小学校4年1組教室)
この日は授業参観日。
保護者も一緒に授業に参加しました。
~児童の鋭い感覚に保護者も驚く一幕も~
~児童の鋭い感覚に保護者も驚く一幕も~
【内容(1) BGMの効果を考えましょう】
『名探偵コナンが探る!テレビの不思議~「音」が世界を作る!~』 (よみうりテレビ視聴)
テレビ番組での「音」の効果について学ぶものです。
BGMによって、楽しい映像も悲しく、悲しい映像も楽しく見えてしまう効果を知ることになります。
<児童の感想>
音があると(映像が)何を言おうとしているか分かる。
音があると雰囲気が分かる
音があると何が起きたか分かる
音がないと、どうしてこうなったかわからない・・・等
映像イメージが、音やBGMにかなり敏感に左右されることが分かりました。
【内容(2) ナレーション・読み手による違いを考えましょう】
同じニュースの原稿を男性アナウンサーと女性アナウンサーがそれぞれ読んでいる映像を見ました。
ニュースは「手もみ茶を作る」内容。
同じニュースでも、読むアナウンサーが男性か女性かによって雰囲気が違ってくることを学びます。
<児童の感想>
声が高い女性アナウンサーの方のニュースは明るく聞こえる。
声の低い男性アナウンサーの方は、暗く聞こえる。
常に笑顔の女性アナウンサーと、時々笑顔になる男性アナウンサーとで、表情の違いがあった。・・・等
同じニュースでも、アナウンサーによって、受け取る側の印象が違ってくることが分かりました。
【内容(3) ナレーション+BGM・組み合わせについて考えましょう】
内容(2)の男性と女性アナウンサーが読んだニュース映像に、それぞれ違うBGMを付けたものを見ました。
どんなBGMがつくかによって、映像の印象がどのように変わるかを体験します。
<児童の感想>
女性アナウンサーの方は、にぎやかなBGMで、男性アナウンサーの方は暗めのBGMに感じられた。
BGMが内容に合っていないと思う。
≪注≫ 今回のBGMでは、男性と女性アナウンサーとの差を明確にするために極端な選曲をしたことが見破られてしまいました。
BGMを変えるだけでも、ニュースの雰囲気が大きく違ってしまうため、ニュースではあまりBGMは使わない、ということを伝えました。
このほか、「男性アナウンサーと女性アナウンサー、どちらの映像が良かった?」と質問したところ、「男性アナウンサーの方が良かった」という解答が多くありました。
このニュースのように「柔ネタ」の場合、女性アナウンサーの方が雰囲気に マッチするケースが多いわけですが、少し意外な結果でした。
ちなみにこの「出前授業」の講師は男性アナウンサーでした。
~伊東秀一アナウンサーによる「音」についての授業~
~伊東秀一アナウンサーによる「音」についての授業~
裾花小学校学習支援 -第3回目-
第3回授業 12月7日(木)
6~7月とメディアリテラシー学習を行ってきた裾花小学校での授業の再開です!
今期の授業では、児童による映像作品作りをすることになっています。
再開初日の授業では、加納美也子アナウンサーが講師を務めました。
【担当講師】
加納美也子アナウンサー
【授業内容】
授業初日は、6班に分かれてニュースの原稿を実際に読んだり、自分達でストーリーを組み立てたりすることで、テレビの裏側には、作り手・送り手の視点があることを勉強しました。
●須坂小学校の映像作りを見てみよう
テレビ信州では、今年4~10月にかけて、須坂小学校で番組制作をする学習支援を行ってきました。
今回は、その須坂小学校の活動を紹介した、テレビ信州のニュース『リアルタイム』のコーナー(2006年11月21日放送)を見て、映像つくりの様子をイメージしました。
ビデオを見終わった後には、「身近な様子を取材する」ことや、「カメラマンは伝えたいものを撮っている」ことなど、児童の中で気付いた点が色々あったようでした。
●番組作りの役割を知ろう
クラスで番組を作る際の役割(ディレクター、アナウンサー、カメラマン、編集、音声、スーパーなど)について学びました。
それぞれの役割の内容を聞いた後には、「○○の役がいい!」と、教室中から希望する役割名が次々と聞こえてきて、児童のやる気が伝わってきました。
●加納アナが、『伝わる話し方・伝わることば』をテーマに、「アナウンサー」「リポーター」の役割について話をしました。
表情や身ぶり手ぶり、スピードなど、「どのようにすれば伝わりやすいか」ということを、実演を交えて児童に伝えました。
加納美也子アナによる授業風景 番組を作る時の役割をしろう インタビューを受けてみよう
加納美也子アナによる
授業風景
番組を作る時の
役割をしろう
インタビューを
受けてみよう
裾花小学校学習支援 -第6回目-
第6回授業 12月26日(火)
【授業内容】
「カメラマン」の役割を知ろう

「『カメラマン』にはどのような役割があるのか?」という点について、テレビ信州の報道カメラマンが授業を行いました。
授業をする坂橋カメラマン
授業をする坂橋カメラマン
●実際にカメラマンが教室の様子をカメラで撮影し、その映像をスクリーンに映しながら授業をしました。
●「みんなが『お父さんやお母さんに見せたい』と思うものを映像で伝えるのがカメラマンの仕事」であり、「これを見せたい」という思いがあって、撮影している、ということを伝えました。
●カメラマンが少し動いただけで映像は大きく動いてしまうため、「ゆれないように」「静止した状態で」撮ることが大切になります。
●下図の様に千円札と五千円札を映像で映した時、「大きいのはどっち?」と聞かれたら…
千円札 五千円札
千円札 五千円札
サイズが大きい→千円札
金額が大きい→五千円札


…となり、見る人によって答えが違ってきてしまうこと、それを読み解くようにしなければいけないことを話しました。
プロのカメラマンが撮影した場合と、児童が撮影した場合とはどの様な点が違うのかを見るために、数人の児童に「インタビューを受ける人」と「カメラマン」を体験してもらいました。
伊東秀一アナウンサーがインタビュアー役となり、児童の一人がインタビューを受ける側となりました。
そして、その様子を、カメラマン役の児童と、テレビ信州のカメラマンが交互に撮影して比較してみました。
→児童が撮影した映像への感想としては…
「誰と誰が話しているのかが分からなかった。」
「急にアップにすると、違和感がある。」
  …などが挙げられました。
→カメラマン役をやった児童の感想は…
「カメラが重かった。」
「手ぶれがしないように、顔がちゃんと映るように撮った。」
→この撮影に対して、テレビ信州のカメラマンからは…
「話している人が何を伝えたいか分かるように、顔をアップにし、それに対する伊東アナのリアクションが面白い時は、伊東アナの顔も撮影する。」
「手持ちカメラで撮影する時は、長時間持っていられるような態勢で撮る。」
「撮影する時は、『撮らせてもらう』という姿勢でやる。」
  …ということなどを話しました。
→今回の授業後の児童の感想
「カメラを撮る前に、どう撮るか考えてから撮らないといけないと分かった。」
「カメラがぶれないように撮ることが見ている人にとって大事。」
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