道行く人たちがまぶしそうに見上げ、
散歩中の園児たちは指をさして声を上げる。
その視線の先には、青空を背に立つテレビ塔。
見慣れた鉄塔はいま、足場と防護フェンスに囲われ、
巨大なロゴマークを取り外す作業が行われている。
開局以来40余年、善光寺平を見下ろしながら
休みなく電波を送り出し続けるTSBのランドマークだが、
歳月による老朽化には抗えず、今回の取り外しとなった。
作業する人と比べてみると、ああこんなに巨大なロゴだったのかと。
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私が県外に就職した当時、長野新幹線(現・北陸新幹線)はまだ開通前。
在来線で帰省するたび、終着駅が近付くと車窓のはるか遠くに
長野の街明かりが見えてくる。その一角にぽつんと灯っていたのが
「TSB」の緑のロゴマークだった。
私にとってもある意味"故郷のランドマーク"。暫しの間、お別れである。