2022/06/14 Kさんの祇園祭

日曜の朝、ちょっと頑張って早起きし、

軍手と雨合羽を羽織って通りへ出る。

山車(だし)の通り道となる町内に

ご近所さんと一緒にテントを張り、

会所(かいしょ)と呼ばれる休憩所をこしらえる。

実に3年ぶりとなる「ながの祇園祭」だった。

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【善光寺への坂道を登る山車/12日午前・長野市大門町付近】

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山車の上から音曲に乗せて披露される踊りを見ながら、

隣にいるKさんが、ほんの少し涙ぐんでおられた。

数年前にご主人を亡くされ、今は一人ぐらし。

「良かった、またお祭りが見られるようになって。

 主人が見たらもう大喜びだったでしょうに」

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ご近所さんに声をかけられ、話は弾んでいた。

「来年もきっと出来ますよ。また待ちましょう」

善光寺への坂道をゆっくり登っていく山車の背を、

Kさんはいつまでも見送っていた。